因子生態学的研究の問題点

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因子生態学的研究の問題点については,森川(1975)に詳しく述べられており,使用変数の吟味(変数の共通性の問題)や分析スケールの妥当性,因子のラベリング,分析手法の検討などが指摘されている。以上のように,因子生態学的手法は多くの変数を集約した形で都市構造の特徴を示すことができる点では,バージェス・モデルなどの1次元的モデルに比べて多次元的にとらえたことに意義があるが,石水(1974)は解釈の点では問題が残されていると指摘した。
ハウジング研究との関連から指摘するならば,住宅状況がいかに社会経済的地位や家族状況の因子構造や因子得点の分布パターンに影響を与え,どのような変数との関連性をもっているのか,十分な検討が行われているとはいえず,研究課題であると考える。また,居住者の属性や住宅状況を指標とした因子生態研究で明らかにされた都市構造が,諸事象の連関からどのような都市内部システムにより解釈できるのか,ハウジング研究としての課題である。
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新古典派経済学的アプローチ
新古典派経済学的アプローチは,都市内部の土地利用分化のメカニズムを経済学の理論から明らかにしたもので,新古典派経済学的分析とは,アロンゾ・モデルで知られるアロンゾ(Alonzo;1960)により発展された新古典派経済学的立地論にはじまる。住宅立地を都心からの距離と居住空間の規模とのトレードオフ・モデルから説明したものである。アロンゾ・モデルは,地価,土地利用,利用密度の都市内の変動を示したもので,チューネンによる農村土地利用のモデルと対比できる。このモデルの鍵は,アクセシビリティと交通費との関係であるが,すべての就業地が都市の中心地域にあり,より中心地域から
遠くに住む世帯ほど経済的余裕のある世帯であること,また同じ所得の人は同様に郊外を選好すると仮定される。

イギリス都市の社会地区モデル

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デーヴィス(Davies;1984)によるイギリス都市の社会地区モデルでは,住宅の種類を指標として地域類型を行っている。中でもインナーシティ内の類型には,「劣悪住宅,労働者階級」「劣悪住宅・移民」,「一間アパート,一時滞在者」,「老齢的地位」,「古い公営住宅」,「更新:公営住宅」,「更新:ジェントリフィケーション」のようにすべて住宅関連の指標である。またミドル・シティ(郊外内帯)やアウター・シティ(郊外外帯)においても「公営住宅」地区が類型化されている。いずれの地域においても,公営住宅地区は低地位・低所得を代用する用語として使用されており,住宅が社会階層と経済的地位を表す指標として用いられている。
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また森川(1982)は,ドイツのビーレフェルト市の都市構造を明らかにした 際住宅状況に関連する社会経済的因子の分布パターンが,住工混合地区などの外国人労働者の多い地区と郊外の社会住宅(Sozialwohnung)において生活保護世帯比率が高いことに関連して必ずしもセクター状の分布とならないことは,都市計画と関連した問題でもあると指摘している。
また,過去の因子生態構造を明らかにする試みとして,ショー(Shaw;1977)は19世紀の前産業都市における居住パターンの変化を明らかにし,それと工業化した都市における居住分化が量的及び質的にも異なることを明らかにした。わが国の都市に関する事例研究では,居住パターンを家族状況や社会経済的地位などの次元ごとに模式化することにより,上野(1981)は大正期の東京市における都市構造を分析した。上野の分析では住宅状況に関する変数を使用しておらず,人口の属性と世帯規模などの家族状況による都市構造の分析となっている。この時期は近代から現代への移行期にあたり,この時期において職業からみた社会経済的地位や世帯規模などの家族状況などの各次元において居住分化がみられることを明らかにした。

住宅状況の因子構造への反映

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住宅状況の因子構造への反映は国ごとに異なり,ハーバート(Herbert;1968)は公営住宅の多いイギリスの都市での分析結果から,住宅関係が都市の社会的分化を特徴づけ,社会的地位や家族状況との関係は合衆国の都市ほど直接的ではないとした。同様に,ノックス(1982)も前述のように,「住宅市場の特性により支配されているイギリスの都市生態学の傾向は,国家(カントリー)によるより高度に発達した公共セクターの反映としてみられる。例えば,大部分のイギリスの研究において見いだされた家族的地位の次元と密度の測定との関連性は,住宅需要の指標として家族規模を基礎として公共住宅を配置する,地方自治体の住宅局の住宅政策に関連しているはずである。同様に,公営住宅への人々の適格性を決定する住宅需要の経済的基準を使用することは,社会経済的地位と住宅所有間に緊密な関係があることを確実にするものである」とイギリスにおける住宅事情の制度論的背景を強調した。
ノックス(Knox;1982)による1980年のボルチモア市の事例では,第1因子は「下層階級」,第2因子は「社会経済的地位」,第3因子は「若年/移民」,第4因子は「黒人貧困層」の因子が得られた。第1因子は,民間賃貸住宅率,空き家率,不十分な台所設備の住宅率と正の関係を持ち,ノックスは下層階級と命名しているが,貧困な住宅事情を示したものといえる。また第2因子も社会経済的地位とノックスは命名しているが,内容的には複数の浴室を持つ住宅率が最も高い正の負荷量をもっている。
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また,3つの普遍的因子以外の因子は,「特殊な地域条件によって関係していることが多いが,そのうちのいくつかはかなり普遍的に出現する」(ノックス)。それらの因子の中にも,デーヴィス(Davies;1984)の事例に示されるように,「劣悪住宅水準/どや街因子」や「住宅保有形態因子(通常,家族のライフサイクル特性に結びついた公営住宅居住などの形態)」が得られ,それぞれ特徴的な空間的パターンをもっていることが明らかにされている。
これによると,劣悪住宅因子は都心(citycenter)周辺部に位置し,住宅保有形態因子はアーパン・フリンジ(市街地縁辺部)および都心とアーバン・フリンジとの中間地域にいくつかの塊状に分布している。

大陸ヨーロッパ都市における居住分化

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ノックス(Knox;1982)は,「全体として大陸ヨーロッパ都市における居住分化は,やはり第1因子がく社会経済的地位の次元〉によって支配されていることはまちがいない。しかし,住宅的地位や自営業者の局在化といった要素が付随することが多い」と述べ,さらに「イギリスの都市は,一般的西洋モデルには厳密には適合しない。
実際,イギリスの都市は,ハーバート(Herbert;1968),エヴァンス(Evans;1973)が述べるように,大規模な公共住宅セクターと関連した建設政策と賃貸政策によって修正された,古典的モデルの主要次元とは違った特徴的な生態学的構造を提示している」と指摘する。これは,制度や政策的作用によりコントロール・形成される現代都市の都市構造を解釈する必要性を主張したものといえる。
これらの因子生態学的分析によって抽出された3大因子の発現要因として,ノックスは「アブールード(Abu-Lughod,J.;1969)は,社会経済的地位と家族的地位の2つの次元の必要条件の問題を明らかにしようと試みたが,彼女によるとく社会経済的地位>による居住分化が起こるのは,全体として地位や名声に応じて人口グループに分化した社会に,効果的なランキングシステムが存在し,なおかつ,このランキングシステムが,住宅市場に対応した細分化により適合した場合のみである」と説明している(ノックス;1982)。
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「同様に彼女は,家族的地位次元は,家族ライフサイクルの異なったステージにある家族が,異なった住宅需要を持ち,かつ住宅ストックの性質と空間的配置が,これらの需要を充足可能な場合であることを示した。これらの条件に潜在するのは,人口が現存の住宅機会に対して社会的地位やライフサイクルの需要を適合させて十分に移動性があるという重要な仮定がある。アブールード(Abu-Lughod)は,これらの条件が現代北米都市社会の特徴であることを指摘した」(ノックス;1982)。

因子生態学的研究におけるハウジング関連因子

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生態学的研究に因子分析を用いたとされる因子生態学的研究は,帰納的にいくつかの因子を導出し,各因子の分布的特徴を考察する点で,演鐸的な方法論をとる社会地区分析と相違するといわれる(森川;1975)。因子生態学的研究は,コンピュータの普及により多数の変数をいくつかの因子で代表させることにより可能となったものであり,数多くの因子生態学的研究によって都市の内部構造が明らかにされている。それらの研究成果として,社会経済的地位,都市化,居住分化の3つの普遍的因子が得られた(森川;1975,上野;1982)。
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森川(1975)は,数多くの因子生態学的研究の研究成果から,国や地域ごとに異なる因子構成の比較を行った。上記の3因子のうち社会経済的地位と家族状況がヨーロッパの都市を含めた都市での重要な因子として抽出されており,北米やオーストラリアなどの移民社会では民族的状況(ethnicsegregation)がさらに加わる。
ここで注目されるのは,ハウジング関係の命名がなされている因子である。森川が整理作成した表中のアンダーソン・ビーン(AndersonandBean;1961)やハーバート(Herbert;1972)では住宅状況が第1因子として抽出されており,ハーパート(1968)では第1,第2因子に住宅状況の因子が抽出されている。わが国の都市を対象とした研究においても,高野(1979)や斎藤(1982)が住宅状況を示す因子を抽出して命名した。
もちろん,パーム・カルーソ(PalmandCaruso;1972)の指摘のように,同じような因子構成であっても命名が異なるため,たとえハウジングと命名されていなくても社会経済的地位因子や家族状況因子の中にはその因子負荷量構成においてハウジング関連の住宅状況を示す変数が含まれている。例えば森川(1976),山口(1976)や横山・森川(1977)による家族状況因子や社会経済的地位因子の因子負荷量構成にはそれぞれ民営借家率や持ち家率などの住宅所有関係の変数が高い負荷量を持つ変数として含まれている。
また社会地理学的アプローチにおいて,シャファー(Schaffer;1971)は,因子分析の適用により住民の社会構造や集落構造に関する多数のメルクマールを社会空間の区分のために用いた。
これらのメルクマールは,「社会階層・職業区分と職業的モビリティー年齢集団・世帯構成・家族のライフサイクル上の状態一住居の構造・再開発のための基準・家賃一転居および選挙の際の行動」(マイヤーほか,1982)の4つのグループに分けられ,社会空間の区分は3因子,すなわち都市内部における社会的・職業的なステータスの分化(社会的階層・職業集団・居住水準のメルクマールと密接に関係),住民の年齢構成(家族のライフサイクル・所得獲得のための行動・住居の建築上の状態が特徴づける因子),住民の転居や移動の用意,により表現された。