住宅状況の因子構造への反映

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住宅状況の因子構造への反映は国ごとに異なり,ハーバート(Herbert;1968)は公営住宅の多いイギリスの都市での分析結果から,住宅関係が都市の社会的分化を特徴づけ,社会的地位や家族状況との関係は合衆国の都市ほど直接的ではないとした。同様に,ノックス(1982)も前述のように,「住宅市場の特性により支配されているイギリスの都市生態学の傾向は,国家(カントリー)によるより高度に発達した公共セクターの反映としてみられる。例えば,大部分のイギリスの研究において見いだされた家族的地位の次元と密度の測定との関連性は,住宅需要の指標として家族規模を基礎として公共住宅を配置する,地方自治体の住宅局の住宅政策に関連しているはずである。同様に,公営住宅への人々の適格性を決定する住宅需要の経済的基準を使用することは,社会経済的地位と住宅所有間に緊密な関係があることを確実にするものである」とイギリスにおける住宅事情の制度論的背景を強調した。
ノックス(Knox;1982)による1980年のボルチモア市の事例では,第1因子は「下層階級」,第2因子は「社会経済的地位」,第3因子は「若年/移民」,第4因子は「黒人貧困層」の因子が得られた。第1因子は,民間賃貸住宅率,空き家率,不十分な台所設備の住宅率と正の関係を持ち,ノックスは下層階級と命名しているが,貧困な住宅事情を示したものといえる。また第2因子も社会経済的地位とノックスは命名しているが,内容的には複数の浴室を持つ住宅率が最も高い正の負荷量をもっている。
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また,3つの普遍的因子以外の因子は,「特殊な地域条件によって関係していることが多いが,そのうちのいくつかはかなり普遍的に出現する」(ノックス)。それらの因子の中にも,デーヴィス(Davies;1984)の事例に示されるように,「劣悪住宅水準/どや街因子」や「住宅保有形態因子(通常,家族のライフサイクル特性に結びついた公営住宅居住などの形態)」が得られ,それぞれ特徴的な空間的パターンをもっていることが明らかにされている。
これによると,劣悪住宅因子は都心(citycenter)周辺部に位置し,住宅保有形態因子はアーパン・フリンジ(市街地縁辺部)および都心とアーバン・フリンジとの中間地域にいくつかの塊状に分布している。