因子生態学的研究におけるハウジング関連因子

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生態学的研究に因子分析を用いたとされる因子生態学的研究は,帰納的にいくつかの因子を導出し,各因子の分布的特徴を考察する点で,演鐸的な方法論をとる社会地区分析と相違するといわれる(森川;1975)。因子生態学的研究は,コンピュータの普及により多数の変数をいくつかの因子で代表させることにより可能となったものであり,数多くの因子生態学的研究によって都市の内部構造が明らかにされている。それらの研究成果として,社会経済的地位,都市化,居住分化の3つの普遍的因子が得られた(森川;1975,上野;1982)。
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森川(1975)は,数多くの因子生態学的研究の研究成果から,国や地域ごとに異なる因子構成の比較を行った。上記の3因子のうち社会経済的地位と家族状況がヨーロッパの都市を含めた都市での重要な因子として抽出されており,北米やオーストラリアなどの移民社会では民族的状況(ethnicsegregation)がさらに加わる。
ここで注目されるのは,ハウジング関係の命名がなされている因子である。森川が整理作成した表中のアンダーソン・ビーン(AndersonandBean;1961)やハーバート(Herbert;1972)では住宅状況が第1因子として抽出されており,ハーパート(1968)では第1,第2因子に住宅状況の因子が抽出されている。わが国の都市を対象とした研究においても,高野(1979)や斎藤(1982)が住宅状況を示す因子を抽出して命名した。
もちろん,パーム・カルーソ(PalmandCaruso;1972)の指摘のように,同じような因子構成であっても命名が異なるため,たとえハウジングと命名されていなくても社会経済的地位因子や家族状況因子の中にはその因子負荷量構成においてハウジング関連の住宅状況を示す変数が含まれている。例えば森川(1976),山口(1976)や横山・森川(1977)による家族状況因子や社会経済的地位因子の因子負荷量構成にはそれぞれ民営借家率や持ち家率などの住宅所有関係の変数が高い負荷量を持つ変数として含まれている。
また社会地理学的アプローチにおいて,シャファー(Schaffer;1971)は,因子分析の適用により住民の社会構造や集落構造に関する多数のメルクマールを社会空間の区分のために用いた。
これらのメルクマールは,「社会階層・職業区分と職業的モビリティー年齢集団・世帯構成・家族のライフサイクル上の状態一住居の構造・再開発のための基準・家賃一転居および選挙の際の行動」(マイヤーほか,1982)の4つのグループに分けられ,社会空間の区分は3因子,すなわち都市内部における社会的・職業的なステータスの分化(社会的階層・職業集団・居住水準のメルクマールと密接に関係),住民の年齢構成(家族のライフサイクル・所得獲得のための行動・住居の建築上の状態が特徴づける因子),住民の転居や移動の用意,により表現された。